余計なことしか言わない

 入院中に読む本を探しに本屋へ。読書会や古本市でお世話になった店主の方が居たので、常連気取りで「術後ボーッとするらしいので、あまり深く考えずに読める本ありますか?」などと通ぶった質問をしてしまった。相当失礼な質問なことに気づきすぐさま謝罪。私は調子に乗ると余計なことしか言わない。勧めて頂いたZINEを勧められるまま購入。僥倖。

 途中居合わせたお客さんが最近サニーデイ・サービスにハマっているとの事で3人でサニーディについて立ち話をした。聞けば店主も最近よく聴くらしく店内でも「東京」が流れていた。
 サニーデイ・サービス。大学時代に付き合っていた彼女と鴨川で一緒に歌ったこと、バンドで沢山コピーしたこと、ライブハウスのアルバイト時代にメンバーの衣装を何故か自宅で洗濯したこと。私の青春の一部はサニーデイで構成されているので、他の人がサニーデイについて話しているのを聴くとどこか恥ずかしい気持ちになる。

 カフェオレとケーキを注文して奥の喫茶スペースで休憩。持ち込んだ本を読もうと思ったが、流れている「東京」が海馬をくすぐるので全く集中できない。同じページを何度も読み返してしまう。諦めて退店しようと立ち上がると、店主から私が先日ツイートしたある書店への苦言について聞かれた。といっても「あのツイートですが。。。」と聞かれただけなので結局何を聞こうとしていたのかわからない。わからないのに「ですが。。。」の「が」に被さる勢いで、燻っていた私の思いをぶちまけてしまった。途中「その書店と店主がつながっていたらどうしよう」と不安になり、恐る恐る聞いてみたら「ちょっとした知り合い」との事。いや本当はむちゃくちゃ知り合いなのかもしれない。私の勢いに気を使ってくれているのかも知れない。私は本当に余計なことしか言わない。

帰る途中、いつも富士山が綺麗に見える橋の上で富士山を探したが、珍しく雲に覆われていてほとんど見えなかった。